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はじめに|競馬のレース名から、知らない街へ行ってみる
競馬を見ていると、ときどき地名や観光名所の名前が付いたレースに出会います。
普段なら「そういう名前のレースなんだ」と、そのまま通り過ぎてしまうところ。
でも、ふと思いました。
「このレース名になっている場所って、実際にはどんなところなんだろう?」
そこで始めてみるのが、この「レース名の土地を歩く」シリーズです。
レース名の由来をインターネットで調べるだけではなく、実際にその場所へ行って、自分の足で歩いてみます。
競馬が好きな人には、競馬をきっかけに今まで行かなかった街へ出かける理由に。
反対に、旅行や街歩きが好きな人には、
「実はこの場所、競馬のレース名にもなっているんだ」
と、競馬を知る小さなきっかけになればと思っています。
編集者自身、もともと競馬を中心に行動することが多かった人間です。
だからこそ、競馬を入口に少しずつ視野や行動範囲を広げていく。その過程も含めて、このシリーズで紹介していきます。
今回向かったのは、京都の「三年坂」です。
今回のレースは「三年坂ステークス」
2026年10月11日の京都競馬場では、10Rに「三年坂ステークス」が予定されています。
JRAの競馬番組では、3歳以上3勝クラス、芝外回り1600mのハンデ戦として組まれています。発走予定は14時50分です。なお、競馬番組は変更される場合があるため、観戦する際は最新の出馬表を確認してください。
※追記:2026年10月11日に予定通り実施され、1番人気の④トミーバローズが優勝しました。
では、そのレース名になっている「三年坂」とはどんな場所なのでしょうか。
京都に住んでいたり、京都観光をしたことがあったりすれば、名前を聞いたことがある人も多いでしょう。
清水寺へ向かう途中にある、あの石段の坂です。
ただ今回は「有名な京都観光地」としてではなく、
「三年坂ステークスの三年坂」
として改めて歩いてみることにしました。
三年坂は「産寧坂」「再念坂」とも呼ばれている
三年坂は、八坂方面から清水坂へと続く石段の道です。
面白いのが、この坂には「三年坂」「産寧坂」「再念坂」という複数の呼び名があること。
京都市公式観光サイトによると、1762年刊行の『京町鑑』には、大同3年(808年)に開かれたことから「三年坂」と呼ばれたという記述があります。
一方、清水寺の子安の塔へ向かう参詣道であったことから、安産にちなみ「産寧坂」と呼ばれたという説もあります。「再念坂」は、清水寺で参拝したあと、この坂でもう一度願いを念じたことに由来するとされています。
JRAも過去の特別レース名解説で、三年坂を京都市にある通りとして紹介し、808年説や「産寧坂」という呼び名について説明しています。
つまり、今回訪れる三年坂が、そのまま京都競馬場のレース名につながっています。

三年坂(産寧坂)へのアクセス|京都駅からの行き方
三年坂(産寧坂)は、京都市東山区の清水寺近くにある石畳と石段の坂道です。
清水寺へ続く「清水坂」と「二年坂」の間に位置しており、周辺には京都らしい町家やお土産店が並んでいます。
公共交通機関を利用する場合は、京都駅から市バスに乗る方法が分かりやすいです。
京都駅から市バスで向かう場合
JR京都駅の中央口(烏丸口)を出て、駅前のバスターミナルへ向かいます。
D2のりばから市バス206系統「東山通・清水寺・祇園方面」に乗車し、「五条坂」で下車します。
バスを降りたら「清水寺」の案内表示を目印に、東山通から五条坂を上っていきましょう。
途中で道が分かれますが、三年坂を目指す場合は、右側の「茶わん坂」ではなく、お土産店が並ぶ「清水坂」方面へ進みます。
清水寺の手前まで進むと、二年坂方面へ下っていく石段の道があります。ここが今回の目的地である三年坂です。
五条坂バス停から三年坂までは、徒歩10〜15分程度が目安です。
阪急京都河原町駅・京阪祇園四条駅から向かう場合
阪急京都河原町駅や京阪祇園四条駅から向かう場合は、市バス207系統が利用できます。
「四条河原町」または「四条京阪前」から、207系統「清水寺・東福寺方面」に乗車し、「清水道」で下車します。
清水道バス停からは、清水寺方面へ坂道を上っていきます。
また、八坂の塔を経由して、二年坂から三年坂へ向かうこともできます。
八坂の塔や昔ながらの町並みも楽しみたい方には、こちらの散策ルートもおすすめです。
バスの混雑を避けるなら京阪電車も
観光シーズンの清水寺周辺は、道路が渋滞しやすいエリアです。
バスの混雑を避けたい場合は、京阪電車の「清水五条駅」から歩いて向かう方法もあります。
清水五条駅から三年坂までは徒歩約20〜25分。駅から東へ向かって歩きます。
歩く距離は長くなりますが、道路の渋滞を気にせず移動できるのがメリットです。
実際に訪れて感じたこと
実は以前、一度バイクでこの周辺まで来たことがあります。
ただ、そのときは近くの駐輪場が満車で断念。
そこで今回は電車とバスを使って向かいました。
私が訪れた日は平日でしたが、清水寺周辺は想像以上に多くの観光客で賑わっていました。
また、三年坂周辺は坂道や石段が続くため、平坦な道を歩くよりも体力を使います。
三年坂を散策するなら、移動時間に余裕を持ち、歩きやすい靴で訪れることをおすすめします。
特に京都駅からバスを利用する場合は、道路の混雑によって予定より時間がかかることもあるので注意してください。
三年坂へ行く前に清水寺へ。いきなり「馬」を発見
まず向かったのは清水寺です。
すると入口付近で、個人的にかなり気になる文字を見つけました。
「馬駐」
です。

調べてみると、読み方は「うまとどめ」。
かつて参詣者などが馬をつないでおくための施設です。現在残る清水寺の馬駐は室町時代後期の建物で、国の重要文化財にも指定されています。文化財資料にも「馬をつなぐ施設」と明記されています。
三年坂ステークスの名前を追いかけて清水寺まで来たら、いきなり昔の馬文化に出会いました。
こういうものは、今回のような目的がなければ「古い建物の一つ」として通り過ぎていたかもしれません。
競馬をきっかけに歩いているからこそ、「馬」という文字に自然と目が向きます。
清水の舞台へ。高いところはやっぱり怖い
そのまま清水寺の境内を歩き、清水の舞台へ。
京都を代表する景色ですが、高いところが得意ではない私にとっては、景色を楽しみつつもちょっと落ち着かない場所です。
とはいえ、舞台から眺める京都の街並みはやはり見事。


そして境内では絵馬も見つけました。
以前、貴船神社を取材した際に「絵馬」という文化について調べたこともあり、今回は自分でも一枚購入。
「絵馬」という名前と馬との関係を調べたあとに、実際の寺社で絵馬を手に取ると、以前とは少し違った見え方をします。


知識として調べたものが、実際の旅先でつながっていく。
これも街を歩く面白さなのかもしれません。

いよいよ「三年坂」を実際に歩いてみる
清水寺をあとにして、今回の目的地である三年坂へ。

現地を歩いていてまず印象に残ったのが、
「三年坂」よりも「産寧坂」という文字をよく見かけたこと
です。
もちろん「三年坂」と書かれた石標などもあります。
ただ、実際に現地へ来てみると「産寧坂」という名称がかなり自然に使われている印象を受けました。
これはネットで「三年坂」と検索しているだけでは、あまり実感できなかった部分です。


そして坂そのものも、写真で見る以上に「坂」です。
石段と石畳に町家が並び、その間を多くの観光客が行き交います。
産寧坂地区では、建物だけではなく、産寧坂・二年坂の石段や石畳なども歴史的景観を形作る重要な要素として保存されています。
何気なく歩いていた石段まで「残されている景観の一部」だと知ると、少し見方が変わります。
産寧坂で見つけた「舞妓はんひぃ~ひぃ~」
三年坂を歩いている途中、七味とうがらし専門店の「おちゃのこさいさい 産寧坂本店」にも立ち寄りました。

店名にも「産寧坂」が入っています。
先ほど「現地では三年坂より産寧坂という表記をよく見る」と感じたばかりだったので、こうしたお店の名前からも「産寧坂」という呼び方が実際に根付いていることを感じました。
おちゃのこさいさいの代表的な商品が、なんとも京都らしい名前の
「舞妓はんひぃ~ひぃ~」
です。
国産ハバネロを使った唐辛子商品で、一味や七味、ラー油、お菓子などが展開されています。公式サイトでも「辛いけど美味しい」を特徴とするシリーズとして紹介されています。
今回は七味と豆あられを購入しました。

こうした店にふらっと立ち寄れるのも、実際にその土地を歩く面白さです。
今回の目的はあくまで「三年坂ステークスの三年坂を見に行く」ことでしたが、坂を歩けば気になる店があり、お土産を買い、そこからまた一つ京都について知ることが増えていきます。
三年坂から少し寄り道。景色が一気に変わった
そのまま周辺を歩いていると、霊山本廟方面へ寄り道することに。
先ほどまで多くの観光客でにぎわっていた三年坂周辺とは雰囲気が変わります。
木々に囲まれた山道を歩いていくと、静かで少し厳かな空気。
この「少し曲がってみたら、まったく違う場所に出る」というのも街歩きの面白いところです。
その先では坂本龍馬の墓にも立ち寄り、京都霊山護国神社へ向かいました。

そこで見つけた「愛馬の碑」
京都霊山護国神社の境内を歩いていると、また気になるものが目に入りました。
「愛馬の碑」
と刻まれた石碑です。
まさか三年坂ステークスをきっかけに歩き始めて、こんな場所でも「馬」に出会うとは思いませんでした。
境内には戦争に関係する多くの慰霊碑や顕彰碑があり、この「愛馬の碑」もその一角にあります。
今回は境内の写真を撮りませんでした。
撮影禁止と確認したわけではありません。
ただ、その場の雰囲気の中で何となくカメラを向ける気にならなかった。それだけです。
「愛馬の碑」が何を意味しているのかについては、別の記事であらためて調べてみたいと思います。
最後は二年坂へ
その後は再び観光エリアへ戻り、二年坂を歩きました。
こちらも多くの観光客でにぎわっており、特に海外から来たと思われる人の姿が目立ちます。
この近辺は人力車も走っていて、先ほど歩いていた静かな霊山周辺とはまるで違う世界です。
ほんの少し歩くだけで、街の表情が大きく変わります。
三年坂だけを目的地として点で見るより、
清水寺→三年坂→周辺へ少し寄り道→二年坂
と歩いてみたことで、この地域そのものを楽しめました。


三年坂周辺を人力車で楽しむのもおすすめ【PR】
三年坂周辺の街並みを、いつもとは違う視点から楽しみたい方には、人力車での観光もおすすめです。
京都東山の「人力車のえびす屋」では、清水寺や祇園など、京都らしい景色を楽しめるツアーが用意されています。
俥夫による街の案内を聞きながら、石畳や歴史ある建物を眺めるのも、徒歩での散策とはまた違った楽しみ方ですね。
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まとめ|競馬のレース名をたどると、思いがけない発見があった
今回、三年坂ステークスのレース名をきっかけに、京都の三年坂を歩いてきました。
実際に訪れてみると、石段の景色や街のにぎわいだけでなく、現地では「産寧坂」という呼び名が広く使われていることも分かりました。
さらに印象に残ったのは、予定していなかった馬との出会いです。
清水寺の「馬駐」、境内の絵馬、そして寄り道した先で見つけた「愛馬の碑」。
競馬のレース名を追いかけて歩いたら、また別の馬の歴史や文化に出会えました。
これこそ、今回のシリーズでやってみたかったことです。
競馬のレース名には、さまざまな土地の名前が付いています。
次に競馬新聞や出馬表で気になる地名を見つけたら、その場所について調べてみる。
そして、面白そうなら実際に歩いてみる。
そんな競馬の楽しみ方も、これから紹介していきたいと思います。
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三年坂以外にも、競馬のレース名になった土地を実際に訪ねています。
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