藤森神社はなぜ馬と縁が深い?勝運・駈馬神事と境内の馬を現地でたどる

まち歩き・観光

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京都市伏見区にある藤森神社。

競馬が好きな方なら、「馬」や「勝運」に縁のある神社として名前を聞いたことがあるかもしれません。

私も最初は、

「競馬ファンが勝負運を願いに行く神社」

というイメージを持っていました。

しかし実際に訪れてみると、大きな馬の絵馬をはじめ、境内のいたるところで馬とのつながりを感じます。

では、そもそもなぜ藤森神社と馬はこれほど深く結びついているのでしょうか。

調べてみると、その背景には毎年5月5日に行われる「駈馬神事」や、古くから続く藤森祭、そして「午」との関わりがありました。

この記事では、藤森神社と馬・勝運との関係を紹介しながら、実際に境内を歩いて見つけた「馬」もあわせて紹介します。

藤森神社はどんな神社?

藤森神社は、京都市伏見区深草に鎮座する古社です。

藤森神社の社伝では、神功皇后が摂政3年(203年)にこの地で兵具を納め、塚を造り、神祀りを行ったことを起こりとしています。

その後、周辺にあった社が合祀され、現在では素盞嗚尊、日本武尊、神功皇后、舎人親王、早良親王など12柱の神々が祀られています。平安京遷都以前からこの地に祀られてきたとされる歴史の長い神社です。

現在、藤森神社自身が掲げている言葉が、

「勝運と馬の社」

です。

実際に境内を歩いてみても、その言葉どおり「勝負」と「馬」を感じられるものがいくつも見つかります。

では、まず「馬」の方から見ていきましょう。

藤森神社はなぜ「馬」と縁が深い?

藤森神社と馬の関係を知るうえで欠かせないのが、毎年5月5日に行われる駈馬神事(かけうましんじ)です。

藤森神社では、旧暦の午月午の日に駈馬神事が行われてきたことや、洛南が「午の方角」にあたることなどから、馬を守護する神として広く信仰されるようになったと説明されています。

現在も競馬関係者をはじめ、馬に関わる人や馬を愛する人などから信仰を集めています。

もともと馬と深く関わる歴史や神事があり、その延長線上に現在の競馬とのつながりがある。

ここを知ると、藤森神社の見え方がかなり変わってきます。

ちなみに、藤森神社の公式記録を調べていて興味深い発見がありました。

駈馬神事は藤森神社の境内だけでなく、過去には京都競馬場や阪神競馬場でも披露されたことがあるそうです。

現代の競馬と伝統的な馬術。一見すると異なる世界ですが、実際に競馬場で交わっていた歴史があると知ると、競馬と地域の馬文化のつながりをより身近に感じられます。

1200年の伝統を持つ「駈馬神事」

駈馬神事は、藤森神社を代表する馬の神事です。

藤森神社によると、その由来は天応元年(781年)、早良親王が陸奥の反乱を鎮めるために出陣した際の様子をかたどったものと伝えられています。

現在は京都市登録無形民俗文化財に指定され、毎年5月5日の藤森祭で奉納されています。

特徴的なのは、ただ馬が走るだけではないこと。

境内南参道の馬場を馬が疾走し、その馬上で乗り手がさまざまな技を披露します。

代表的なものには、

「手綱潜り」「逆乗り」「矢払い」「横乗り」「逆立ち」「藤下がり」「一字書き」

があります。

例えば「藤下がり」は敵の矢に当たったように見せながら走る技、「一字書き」は前線から後方へ情報を伝える姿を表現した技とされています。

写真で見るだけでもかなり迫力がありますが、普段は静かな神社の参道を馬が駆け抜けると考えると、藤森神社と馬の関係を象徴する行事と言えそうです。

藤森祭当日は、現在13時と15時の2回、駈馬神事が公開されています。行事時間は変更される可能性があるため、訪れる際は最新の公式案内を確認してください。

【駈馬神事を観覧する際の注意点】

駈馬神事では、馬を驚かせないためにフラッシュ撮影は禁止されています。また、観覧中は日傘を開かず、風船などを動かさないよう案内されています。

安全に神事を楽しむためにも、当日は保存会や警備員の案内に従いましょう。

→ 藤森神社公式|駈馬神事の案内

では、なぜ「勝運」の神社なの?

藤森神社といえば、「馬」と並んでよく聞くのが勝運です。

こちらにも理由があります。

藤森神社によると、この祭りは平安時代に皇室と国家の安寧を願う行事として始まり、江戸時代には端午の節句の「菖蒲(しょうぶ)」が、武道を重んじる「尚武(しょうぶ)」、さらに勝ち負けの「勝負(しょうぶ)」へ通じることから、勝運への信仰が広がったとされています。

藤森神社は現在も「菖蒲の節句発祥の社」と伝えています。

つまり藤森神社には、

馬を守護する信仰

と、

勝負に通じる勝運の信仰

があります。

この二つが重なっているからこそ、現在の競馬とも非常に相性がいいのでしょう。

「競馬ファンに人気だから勝負と馬の神社になった」のではなく、もともと別々に存在していた馬と勝運の歴史が、現代の競馬ファンから見ても非常に親和性が高いという方が実態に近そうです。


実際に境内を歩いてみた

アクセス

京阪「墨染駅」、もしくはJR「藤森駅」で下車していただくと徒歩5~10分程度で神社に到着できます。

京阪にも藤森駅がありますが、神社からやや離れているので一つ隣の墨染駅がおススメです。

京都駅方面から向かうなら、JR奈良線の「JR藤森駅」が便利です。駅から藤森神社までは徒歩約5分。

一方、祇園四条方面や京阪沿線から向かう場合は、「墨染駅」から徒歩約7分です。

京阪にも「藤森駅」という名前の駅がありますが、神社へ行く場合は墨染駅の方が近いため、駅名を間違えないようにしましょう。

駅から歩いて向かう途中にも京都らしい街並みが広がり、神社へ向かう時間も観光の一部として楽しめます。


敷地内の様子

ここからは、実際に藤森神社へ行ったときの様子を紹介します。

藤森神社には何度か訪れていますが、由来を知ったうえで改めて境内を見ると、思っていた以上に「馬」がいます。

私が訪れた日も、境内には馬に関する奉納物や絵馬があり、競馬ファンなら思わず写真を撮りたくなるような光景が広がっていました。

特に印象的だったのは、飾られていた大きな絵馬です。

遠くからでも目を引く迫力があり、藤森神社を代表するフォトスポットの一つだと感じました。

時期によって絵が変わっているので、その時その時の出会いがあります。

2026年5月に訪れたときの絵馬

2026年8月に訪れたときの絵馬

実際に歩いてみると、境内は落ち着いた空気に包まれ、ゆっくり散策できる雰囲気があります。

訪れている方々の印象は、海外から来られている方は少ない印象で、家族連れやカップルがゆっくりと境内を回っておられる様子が印象的でした。

派手な観光地とは違い、京都らしい静けさを感じながら参拝できるのも魅力でした。

寺社仏閣巡りが好きな方はもちろん、「人混みを避けてゆっくり京都を楽しみたい」という方にもおすすめできる場所です。

5月の「藤森祭」の時は奉納品が祀られていました。


宝物殿には「鶴丸」の写し刀も

藤森神社を訪れたら、個人的に立ち寄ってほしいのが宝物殿です。

宝物殿には重要文化財の紫絲威大鎧をはじめ、甲冑や火縄銃などの武具、刀剣などが展示されています。

その中には「馬の博物館」も併設されています。

日本各地の馬の郷土玩具や、世界各地の馬のミニチュアなどが並び、境内とはまた違った形で「馬」を楽しめます。

私が実際に訪れたときも、「ここまで馬にまつわるものが集められているのか」と印象に残りました。

競走馬を見るのとはもちろん違いますが、

人は昔から、世界中でさまざまな形で馬を身近に置いてきたんだな

と感じられる場所です。

そして、刀剣好きにとって特に注目したいのが、太刀「鶴丸」の写し刀です。

「鶴丸国永」は平安時代の刀工・国永による太刀で、現在の本歌は皇室の御物。かつて藤森神社の神事で使われていたと伝えられており、藤森神社は鶴丸国永にゆかりのある場所として知られています。2018年には刀匠・藤安将平氏が手掛けた「鶴丸」の写し刀が神社へ奉納され、現在も宝物殿の展示品として公式サイトで案内されています。

ここで「鶴丸」と聞いてピンときた方もいるかもしれません。

日本刀をモチーフにした人気ゲーム『刀剣乱舞ONLINE』にも「鶴丸国永」が刀剣男士として登場します。そのため藤森神社は、作品をきっかけに鶴丸国永を知ったファンからも、ゆかりの地として親しまれてきました。現在もファンから奉納された鶴丸国永のグッズが紹介されたこともあり、競馬や馬とはまた違った入口から藤森神社を訪れる人がいるのも面白いところです。

さらに現在の宝物殿には、「鶴丸」だけでなく「一期一振」の写し刀も展示されています。

競馬旅の途中で立ち寄った神社で、馬の歴史を見ていたら刀剣の世界にもつながっていく――。こうした思いがけない出会いも、競馬場だけでは終わらない旅の楽しさのひとつではないでしょうか。

宝物殿内は撮影禁止エリアもありますので、撮影などは注意しましょう。

【宝物殿の見学について】

宝物殿は9:00〜17:00の開館で、入館時には志納金を納めます。

注意したいのは、駈馬神事が行われる5月5日は休館日になっていることです。

その他の祭礼時にも休館する場合があるため、宝物殿を目的に訪れる際は、事前に神社へ確認しておくと安心です。

おススメの競馬旅モデルコース

JR京都駅の近くに宿泊して京都競馬場へ向かう方など、京都駅から旅をスタートさせるときは、

JR「京都駅」→JR「藤森駅」→藤森神社参拝→京阪「墨染駅」から「淀駅」へ。

というコースがおススメできます。

競馬前の願掛けや、せっかく京都に来たし少しは観光もしたいという方にこのコースをおススメしたいです。

京阪への乗り換えのついでに神社参拝ができるお得なコースだと思います。

モデルコースを実際に体験した記事についてはこちらをご覧ください。

京都競馬場+藤森神社の1日モデルコース|墨染駅近ラーメンから淀の居酒屋まで楽しむ競馬旅
京都競馬場と馬ゆかりの藤森神社を巡る1日モデルコースを紹介。午前は藤森神社を参拝し、墨染でランチ。午後から京都競馬場で最終レースまで楽しみ、最後は淀の居酒屋へ。競馬場だけで終わらない京都の競馬旅を実際に巡りました。

京都競馬場だけで終わらない「馬を訪ねる旅」に

最初に藤森神社を訪れたときは、

「競馬の前に勝負運を願える神社」

くらいのイメージでした。

しかし、その背景を調べてみると、駈馬神事があり、馬の守護への信仰があり、境内には神馬像や馬の手水、大絵馬があります。

さらに宝物殿へ入れば、日本や世界の馬にまつわる品々にも出会えます。

競馬場で見るサラブレッドとは違いますが、これも長い歴史の中で続いてきた人と馬との関わりのひとつです。

京都競馬場へ行く途中に立ち寄るのはもちろん、藤森神社そのものを「馬を訪ねる旅」の目的地にしてみるのも面白いと思います。

競馬場だけで終わらない競馬旅。

その一歩先で、馬が地域の歴史や文化につながっていく場所として、藤森神社は「うまでつあ」でこれからも紹介していきたい場所です。

京都旅行なら、交通・宿泊もまとめてチェック

藤森神社を訪れるなら、京都競馬場や伏見稲荷大社、伏見エリアなどと組み合わせて巡るのもおすすめです。

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旅行の日程が決まったら、交通手段と宿泊先をあわせてチェックしておくとスムーズです。

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