競馬場で馬を眺めていると、首元や脚の付け根などに、白い泡のようなものが付いている馬を見かけます。
実はこれ、馬の汗なんです。
特にパドックやレース前の輪乗りでは、ほかの馬と比べて明らかに発汗量が多い馬もいます。
競馬予想では大量の発汗がマイナス材料として捉えられることもありますが、汗をかいているからといって、必ずしも調子が悪いわけではありません。

競馬予想でも発汗は気になるポイント。私も汗の多い馬を見て、馬券の購入を見送ることがあります。
また、真冬の寒い日でも汗をかいている馬がいたり、騎手が乗ってから急に発汗が目立つようになったりと、不思議に感じることもあります。
そもそも、馬の汗はなぜ白く泡立つのでしょうか。
今回は、白い泡の正体や馬の発汗の仕組み、競馬場で見られる発汗と馬の状態の関係について調べてみました。
馬の汗が白く泡立つのはなぜ?
馬の汗には、人間とは違う特徴があります。
それが、白く泡立つことです。
この泡立ちには、馬の汗に含まれる「ラセリン」というタンパク質が関係しています。
ラセリンには、洗剤などに含まれる界面活性剤のように、水の表面張力を弱める働きがあります。
馬は全身が被毛に覆われているため、普通の水では毛の表面に広がりにくくなっています。
そこでラセリンが働くことで、汗が被毛に広がりやすくなり、蒸発によって効率よく熱を逃がせるのです。
そして、汗が泡立つと細かな気泡が光を散乱するため、白く見えます。
つまり、あの白い泡は、馬が体温を調節するために備えている仕組みから生まれるものなのです。
ちなみに、汗が白いのは塩分が多いためではありません。

馬はなぜ汗をかくの?
馬が汗をかく大きな理由は、体温を調節するためです。
人間と同じように、馬も運動すると筋肉から熱が発生します。
その熱が体内にたまりすぎないよう、汗を出し、蒸発するときに熱を逃がしています。
実は、馬は体の大きさに対して体表面積が小さく、全身が被毛で覆われていることから、人間に比べると効率よく体の熱を外へ逃がしにくい動物です。
そのため、発汗は馬の体温を守るうえで大切な働きをしています。
ただし、馬が汗をかく理由は暑さや運動だけではありません。
興奮や緊張などによって、発汗が促されることもあります。
寒い冬でも馬が汗をかくのはなぜ?
冬の競馬場で馬を見ていて、不思議に感じるのが発汗です。
人間なら上着が必要なくらい寒い日でも、首や胸元に汗が浮いている馬を見かけることがあります。
実は、気温が低いからといって馬が汗をかかなくなるわけではありません。
JRA日高育成牧場が紹介している研究では、トレッドミルで約20分間運動させた馬の発汗量を季節ごとに比較しています。
| 季節 | 気温 | 発汗量 |
|---|---|---|
| 夏 | 30℃ | 約2.90kg |
| 秋 | 24℃ | 約2.21kg |
| 冬 | 10℃ | 約0.44kg |
※研究で設定された運動内容・温湿度での結果です。

夏に比べると大幅に少ないものの、気温10℃の環境でも汗をかいていたことがわかります。
もちろん、これは運動中の研究結果であり、パドックで歩いている馬が同じ量の汗をかくという意味ではありません。
それでも、冬の馬が発汗すること自体は不思議なことではないのです。
また、緊張や興奮による発汗も考えられるため、気温だけで馬の汗の量を判断することはできません。
騎手が乗ってから発汗が増えるのはなぜ?
競馬場で馬を観察していると、もうひとつ気になることがあります。
それは、騎手が乗ってから発汗が目立つようになる馬がいることです。
パドックではそれほど汗をかいていなかったのに、コースへ出てからや、レース前の輪乗りで発汗が増えていることがあります。

パドックではあまり汗が目立たなかったのに、騎手が乗ってから急に発汗が増える馬も見かけます。レース直前まで観察していると、こういう変化も面白いんですよね。
馬は興奮や緊張によっても汗をかきます。
騎手が乗り、コースへ移動してレースへ向かう過程で、気持ちが高ぶることは発汗を増やす要因のひとつとして考えられます。
また、歩く・走るといった運動による熱の発生や、馬具と接する部分で汗が目立ちやすくなることも考慮する必要があります。
ただし、騎手が乗ったこと自体が発汗の原因だとは断定できません。
大切なのは、パドックからレース直前までの間に、馬の様子がどう変わったかという点です。
発汗が多い馬はレースで不利になる?
競馬では、大量の発汗がマイナス材料として扱われることがあります。
その理由のひとつが「イレ込み」です。
イレ込みとは、レース前に馬が極度に興奮して落ち着きを失っている状態のことです。
JRAの競馬用語辞典でも、ひどい発汗はイレ込みの特徴として挙げられています。
こうした状態では、レース前に体力を消耗し、本来の能力を十分に発揮できない可能性があります。
ただし、発汗量が多いことと、イレ込んでいることは必ずしも同じではありません。
発汗には気温、運動、興奮、個体差など、さまざまな要因が関係しています。
もともと汗をかきやすい馬もいれば、その日の環境によって発汗が増える馬もいます。
そのため、汗だけで良し悪しを決めつけるのではなく、歩き方や落ち着き、普段との違いなどを合わせて観察することが大切なのでしょう。
発汗量だけでは、馬の状態は判断できません。
気温や運動、普段の発汗の程度に加えて、歩き方や落ち着きも合わせて観察してみましょう。

パドックから輪乗りまで、発汗の変化を見てみよう
馬の発汗について知ると、競馬場での観察にも少し違った楽しみが生まれます。
例えば、パドックでは落ち着いていた馬が、騎手を乗せてから急に汗をかき始める。
反対に、汗をかいていても落ち着いた様子で歩いている馬もいる。
こうした違いを見比べるのも、馬を観察する面白さのひとつです。
競馬予想をしている人なら、発汗が多い馬の評価をどうするか考えるきっかけにもなるでしょう。
競馬を知らない人にとっても、馬が汗をかく理由を知ることは、馬という動物を理解する入り口になります。
競馬場で馬を観察してみよう
- パドックではどこに汗をかいている?
- 騎手が乗ってから発汗は増えた?
- 汗をかきながらも落ち着いている?
- 気温や季節によって違いはある?
まとめ|白い汗を知ると、パドックの見方が少し変わる
馬の汗が白く泡立つのは、「ラセリン」というタンパク質が関係しているためです。
このラセリンには、汗を被毛に広がりやすくし、体から熱を逃がすのを助ける働きがあります。
また、馬は暑さや運動だけでなく、興奮や緊張などによっても汗をかきます。
競馬場では大量の発汗がマイナス材料として注目されることもありますが、汗の量だけで馬の状態を判断できるわけではありません。
私自身、パドックで発汗の多い馬を見て購入を見送ることもあります。しかし、今回調べてみると、発汗には思っていた以上にさまざまな要因が関係していることが分かりました。
これからは汗の量だけでなく、どのタイミングで汗が増えたのか、馬がどのような様子で歩いているのかにも目を向けてみたいと思います。
馬の生態を一つ知るだけで、競馬場で見るものが一つ増える。
次に競馬場へ行ったときは、ぜひ馬の発汗にも注目してみてください。
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レースで走る馬の姿だけでなく、馬という動物そのものを知る。
そんな楽しみ方も、競馬場の魅力の一つだと思います。
参考文献
- JRA日高育成牧場「サラブレッドの発汗について」:冬の発汗量、ラセリン、体温調節の仕組み。
- JRA競馬用語辞典「入れ込む」:発汗とレース前の興奮の関係。
- Racing.com「Ultimate guide to the mounting yard」:発汗には個体差があり、馬の落ち着きや普段の様子と合わせて観察する重要性。
- 馬の発汗とアドレナリン反応に関する研究:馬の発汗には神経・ホルモンによる調節も関係するという生理学的な根拠。



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