馬のふんは「ボロ」と呼ぶ?形・におい・健康との関係をパドックの疑問から解説

馬について

競馬中継を見ていると、馬が歩きながらふんをしている場面を見かけることがあります。

私自身も、パドックで馬を観察していて、ふんをする姿が気になったことがあります。

実は、馬のふんは競馬や飼育の現場で「ボロ」と呼ばれています。

では、なぜ馬のボロは丸い形をしているのでしょうか。また、排便の回数や状態から、馬の健康について何か分かることはあるのでしょうか。

今回は、パドックで感じた素朴な疑問をきっかけに、馬のボロの形や量、におい、ストレスや体調との関係を調べてみました。

さらに、回収された馬のふんがどのように活用されているのかについても紹介します。

馬の「ボロ」とは?競馬の現場で使われる、ふんの呼び名

「ボロ」とは馬のふんのこと。JRAの競馬用語辞典にも載っている、厩舎ことばの一つです。厩舎とは、馬が生活する馬房などのある施設を指します。[1]

競馬の話で「ボロをした」「ボロを出した」と聞いたら、馬がふんをしたという意味だと考えると分かりやすいでしょう。

呼び名を知っているだけで、中継や馬に関する説明もちょっと身近になりますね。

なお、「ボロ」という名前の由来については、今回確認した資料では確かな説明を見つけられませんでした。ここでは、馬のふんを表す言葉として覚えておけば十分です。

ボロはなぜ丸い?草を食べる馬の消化の仕組み

馬のボロは、丸みのある塊がいくつもまとまって出てきます。この形には、腸の中で水分を吸収し、ふんをまとめる働きが関係しています。[2]

草の繊維を消化するのは、腸の微生物の力も借りている

馬は草を食べる動物ですが、草の繊維を自分の消化酵素だけで十分に分解できるわけではありません。

そこで活躍するのが、盲腸や大結腸にいる微生物です。微生物が繊維を発酵・分解し、その過程でできた物質を馬がエネルギー源として利用します。[2]

大まかな流れをまとめると、次のようになります。

体の場所主な働き
口餌をかみ砕き、唾液と混ぜる
胃・小腸消化を進め、多くの栄養成分を吸収する
盲腸・大結腸微生物が草の繊維を発酵・分解する
小結腸水分を吸収し、ふんの塊を作る
直腸・肛門ふんを保持し、体の外へ出す

ボロの形が作られるのは、消化管の終わりに近い「小結腸」という部分です。食べ物が体の中を通り、水分を吸収されて、あの丸みのある姿になります。[2]

ボロに繊維が残っていても、それだけで消化不良ではない

ボロには、消化されなかったものや消化しにくい植物の繊維が残ります。繊維が見えることだけで、「餌を消化できていない」「体調が悪い」とは言えません。[3]

普段は何気なく見ているボロですが、その形や中身にも、草を食べて暮らす馬の特徴が表れています。

馬は1日に何回ボロをする?量はどのくらい?

排便回数は1日8〜12回という目安がある

オーストラリアの動物福祉団体RSPCAは、健康な馬の排便について、1日8〜12回という目安を紹介しています。[4]

もちろん、食事や個体差によって変わるため、すべての馬が同じ回数になるわけではありません。それでも、馬は1日のうちに何度もふんをする動物だと分かります。

私も競馬中継を見ていて、馬が歩きながらふんをする場面にたびたび気づきます。レースを控えた場面でも、馬の日常の営みは続いているのです。

体重約450kgの馬で、ふんだけでも1日約14kgという推計

米国のペンシルベニア州立大学は、体重1,000ポンド、約454kgの馬について、1日に出すふんを約14kgと推計しています。[5]

これは尿を含めない、ふんだけの数字です。すべての競走馬にそのまま当てはまる量ではありませんが、1頭が毎日出す量として考えると、なかなかの重さです。

さらに馬房の掃除では、ふんや尿だけでなく、汚れたわらなどの敷料も回収します。敷料とは、馬の寝床や床に敷く材料のこと。馬を世話する仕事には、こうしたものを日々片付ける作業も含まれています。[5]

ボロはどんなにおい?現地のパドックで感じたこと

編集者が現地のパドックで感じるのは、人の便とは違う、動物らしいにおいです。うまく言葉にしにくいのですが、画面越しに競馬を見ているときには分からない、現地ならではの感覚があります。

ただ、その場で感じるにおいのすべてがボロから出ているかどうかは分かりません。ここでは、パドック全体で感じた個人の印象としてお伝えしています。

また、「馬は草食だからボロは無臭」とまでは言い切れません。馬の飼育環境では、ふん尿や汚れた敷料をためることで、アンモニアが蓄積する問題もあります。清掃や管理が大切なのは、見た目だけの理由ではないのです。[6]

牧場などで馬に触れたり、世話を体験したりする際には、終わった後や飲食前に手を洗いましょう。草を食べている動物だからといって、ふんを衛生的なものとして扱うわけではありません。[7]

ボロをすると走らない?ストレスや体調との関係

競馬予想の話では、「ボロをしているのはストレスで胃腸が弱っているから、走らない」「ボロが出た分体重が軽くなって走る」といった説明を耳にすることがあります。編集者も聞いたことがあり、排便だけでそこまで分かるのだろうかと気になっていました。

調べて分かったのは、ボロの状態は体調を知る手がかりになるものの、出したという事実だけで不調やレース結果を判断することはできないということです。

ストレスで便が増えたり、緩くなったりする場合はある

英国馬協会(British Horse Society)は、馬のストレスの兆候の一つとして、排便の増加、とくに緩い便を挙げています。[8]

そのため、ストレスと排便が無関係というわけではありません。一方、馬は普段から何度も排便します。パドックで一度ボロをした場面を見ただけでは、それが普段どおりなのか、いつもと違う変化なのかは分からないでしょう。

「排便した」「ストレスがある」「胃腸が弱っている」「レースで走らない」は、それぞれ別の判断です。今回確認した資料からは、これらをひと続きの法則として扱える根拠は見つかりませんでした。

健康管理では、その馬の「いつも」と比べて見る

JRAの用語辞典でも、ボロの状態が好不調を知る材料になると説明されています。[1] 日々の世話では、次のような点に目を向けます。

観察するところ気に留めたい変化
回数・量普段より少ない、出ない、急に増えた
硬さ・水分極端に乾いている、緩い、水っぽい
色食事との関係も踏まえ、普段と違うか
排便時や前後の様子苦しそう、食欲や行動がいつもと違う

便の色は食事でも変わります。見た目だけで決めるのではなく、その馬の普段の状態や、食欲・行動などと合わせて考えることが大切です。[4]

極端に乾いた便、下痢を含む緩い便、便が出ない状態は、獣医師への相談が必要な変化として大学の資料にも挙げられています。[9]

ボロは、毎日馬を見ている人にとって大切な情報の一つ。観客としては「ボロをしたから走らない」と結論づけるより、馬の生活や健康を支える観察の一つとして知っておくとよさそうです。

馬のふんや使用済みの敷料は、そのあとどうなる?

パドックを見終わると、私はレースを観戦する場所へ移動します。そのため、ボロが出た場面は見かけても、片付けの作業を最初から最後まで追っているわけではありません。

自分がレースに目を向けている間にも、馬のいる場所を整える仕事はあるのだと、ボロをきっかけに気になりました。

ふんを回収し、保管や処理を適切に行うことは、においやハエ、寄生虫、汚水の流出などを管理するうえでも重要です。[10]

では、回収されたものには、どのような使い道があるのでしょうか。

馬ふんは、堆肥として土づくりに利用できる

馬ふんや使用済みの敷料は、堆肥にして土づくりに利用できます。堆肥化とは、空気や水分などを調整しながら、微生物による有機物の分解を進めることです。[11]

単に積み上げて放置するだけではなく、適切な管理を行い、農地などで使える資源へ変えていきます。

馬が食べた草がボロになり、処理された堆肥が土づくりに役立つ。そんなつながりを知ると、片付けられた先にも目を向けたくなります。

JRAでは、使用済みの馬房敷料を発電にも活用

JRAの栗東・美浦トレーニング・センターでは、ふん尿で汚れた使用済みの馬房敷料を、バイオマス発電の燃料として利用しています。[12]

ここで使うのは、ボロだけではなく、わらや木を薄く削った敷料などを含むもの。燃焼で得た熱から水蒸気を作り、タービンを回して発電する仕組みです。

馬の寝床として使ったものが、今度は電気を生み出す資源になる。競馬場でボロを見ただけでは想像しにくい、馬の暮らしの先にある取り組みです。

なお、これはトレーニング・センターでの事例です。編集者がよく訪れる京都・阪神・園田の各競馬場で、パドックのボロがどこへ運ばれているかは、今回確認できていません。そこは、今後現地で聞いてみたい疑問として残りました。

まとめ|ボロを知ると、馬の暮らしが少し見えてくる

競馬場で見かける馬のふん「ボロ」。

普段はあまり意識しないものですが、調べてみると、馬の消化の仕組みや健康管理、さらには飼育環境を支える人たちの仕事まで、さまざまなことにつながっていました。

馬は1日に何度も排便し、その状態は健康を知る手がかりにもなります。

ただし、パドックでボロをしたからといって、ストレスがたまっている、レースで走らないと判断できるわけではありません。

私自身、パドックでは馬の歩き方や馬体に注目することが多かったのですが、今回調べたことで、馬の何気ない日常の姿にも興味が広がりました。

競走馬も、一頭の動物として食べ、眠り、排せつしながら暮らしている。

当たり前のことですが、レースで走る姿ばかり見ていると、つい忘れてしまいそうになる部分です。

そんな馬の暮らしを知ることも、競馬を楽しむ一つの方法なのだと思います。

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馬のことを少し知るだけで、次に競馬場へ行ったときの楽しみが増えるかもしれません。

馬券やレースだけでなく、馬そのものにも目を向けてみてください。

参考資料・出典

情報確認日:2026年9月26日。本文の番号は以下の資料に対応しています。本文は各資料を参考に、初心者向けに要約しています。

  1. JRA「厩舎ことば」競馬用語辞典 ― ボロの意味、好不調との関係。
  2. University of Maryland Extension:Teaching Basic Equine Nutrition Part II ― 消化の仕組み、微生物、小結腸でのふん塊形成。
  3. Iowa State University:Synopsis of The Digestive Anatomy and Physiology of the Horse ― ボロに残る消化されなかった成分。
  4. RSPCA Australia:How do I keep my horse healthy? ― 排便回数の目安、色と食事、日々の健康観察。
  5. Penn State Extension:Horse Stable Manure Management ― 体重約454kgの馬の排せつ量、敷料を含む回収物。
  6. British Horse Society:Horse Stable Management ― ふん尿・敷料の管理とアンモニア。
  7. CDC:Horses — Healthy Pets, Healthy People ― 馬との接触や清掃後、飲食前の手洗い。
  8. British Horse Society:Equine stress ― ストレスの兆候としての排便増加・軟化。
  9. Penn State Extension:Recognizing a Healthy Horse ― 便の異常と獣医師への相談。
  10. Extension Horses:Horse Manure Management ― 回収・保管・処理と衛生、環境への影響。
  11. University of Minnesota Extension:Managing and composting horse manure ― 堆肥化と利用。
  12. JRA「モリモリ発電中!環境にやさしいJRAのバイオマス発電」 ― 使用済み馬房敷料を使った発電。

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